富田のトレチャ 2016年06月28日

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「注意」でなく「要警戒」

24日は「英国ショック」に世界中が大きく揺れた。だが、結果的には先週のコメントで懸念した如く、チャートが示唆した通りになったと見ている。つまりは07~08年相場の再演であり「リーマンショック再来」が否定できないということだ。そして、もうすでにそのショック安に突入した可能性もある。

マスコミや金融・証券関係者は「EU離脱の影響」をアレコレ述べている。離脱までの道のりとか、英国の政治混迷、欧州の離脱連鎖懸念、世界経済への影響など。そうした懸念は「その通り」なのだが、株式市場の状況はそんなノンキなことを言っている場合ではない。

欧米株は昨年、過去最高値を更新していた。リーマンショックからまる7年目、未曾有の過剰流動性政策で「マネーバブル」を演出してきたが、昨年の夏場に「チャイナショック、ギリシャショック」に見舞われチャートが「陰転」。そして12月まで戻しかけたが「米国利上げ」を機に2月まで大きく二段下げ。そしてイエレンマジックもあり英国投票間際まで切り返しを見せていたが、24日にNYダウ610ドル安(3.3%)、DAX699ポイント安(-6.8%)、FT199ポイント安(-3.1%)と崩れ、日足が再び陰転、週足チャートは好転することなく下げ基調を継続した。

FT週足
FT週足

こうした流れは日本も同じで、日経平均は14864円まで下落した。日米欧とも昨年来の週足は「07~08年当時」と似ている。そして、今回の英国ショックで日経平均の週足は三段下げを明確にした。これは08年の夏場に該当することから「リーマンショック時の下げ過程に入った」と言える。これはつまり「マネーゲームの終焉」を意味する。英国EU離脱の影響よりも「同時株安」に入ったことがいま重要であり、注意ではなくもはや「警戒」の領域に入ったと見ておく必要あるだろう。

日経平均週足
日経平均週足

08年日経平均週足
08年日経平均週足

為替チャートをみると、対ドル、対ユーロ、対ポンド、対元などいずれも円高が加速し、2年半~3年前の水準に来ている。いわゆる「リスクオフ」であり、それは「アベノミクス」を帳消しにする勢いにある。また、08年当時と異なり日本とECBはマイナス金利下で金融政策の切り札に乏しい。口先介入や量的緩和に波乱を食い止める効果は期待できない。そうしたこと踏まえると、今回の同時株安を甘く見るべきではない。下値目安は「14000~13000円処」に節あるが、暴落(ショック安)となればそうした節をあっさり割り込み「12000~10000円」試行も否めない。

ドル円週足
ドル円週足

ポンド週足
ポンド週足

相場であるから、先物ショートカバー(買い戻し)などで時折リバウンドも見せるだろう。そうすると「下げ止まった」「絶好の買い場だ」など底打ちとも取れるコメントが出てくるだろう。そうした証券会社の安易な観測に耳を貸すことなく、ここはより慎重に身構え、日足などチャート(流れ)に従うことが重要だ。

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