富田のトレチャ 2019年12月27日

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2020年相場予測

さて2020年が始まる。株式市場のポイントを押さえながら、チャート面で新年相場を簡単に予想しておこう。

現在のマーケットのポイントを整理すると、(1)NYダウなど米国株が過去最高値更新中。(2)日経平均はアベノミクス最高値24448円に迫る。(3)過剰流動性(カネ余り)、ETFに資金流入続く。(4)米中通商交渉が続く。(5)トランプ大統領のツイートに振らされやすい。このような点が挙げられる。

2020年といえば11月に米大統領選があるので、トランプ大統領のツイートもヒートアップしてこよう。それが米中交渉に影響しかねない。日本ではオリンピック・パラリンピックがあるが、ポイントにはならない。掛け声倒れの市場改革も同じ。日本でポイントを挙げるなら経済対策の国土強じん化、5G支援だろうか。ただ、日本株の「NY次第、外国人次第」という構図は変わらないだろう。

NYダウ仕上げ局面で32000ドル

まず米国株だが、最高値を更新する強さの背景には、行き場を失った世界の投資マネーの流入がある。過剰流動性に伴う需給相場であるが、これは09年3月のリーマンショックから始まり、新年3月で11年を経過する。表現を変えれば「マネーゲーム相場」が11年も続いているということだ。

NYダウ(24日終値28515ドル)の月足を見ると11年間上昇トレンドを描くが、トランプ大統領が当選した16年11月から18年1月まで上昇角度が急になり、18年12月のクリスマス安値からはその角度をさらに強めている。つまり、ホップ、ステップ、ジャンプと「三段上げ」の長期波動が見てとれる。

NYダウ月足
NYダウ月足

二段目の上げ幅が役11100ドルで、それを三段目に当てはめると「32000ドル前後」となる。時価から3500ドル(△12%)ほどであるから十分達成可能だろう。
ただし、チャートで上昇三段目というのは「仕上げ局面=天井局面」でもある。32000ドルの到達如何に係らず、NYダウはそういう高値局面に入っており、「風雨強まる高所」にあることを承知しておくべきだろう。

日経平均28000円指向も

 日経平均(26日終値23924円)は18年10月高値24448円を目前に足踏み続くが、当面のN波を達成し、12月中旬に材料出尽くし感から高値示現、そして年末に調整という流れはセオリー通りでもある。米国株が最高値を更新しており、新春に24448円を突破する可能性は十分にあるだろう。

 日経平均を月足でみると、アベノミクスが始まった2012年12月(9500円処)から18年1月24129円まで大きく三段上げを描いている。余韻で同年10月に24448円まで高値を伸ばすが、三段上げ達成とあって18年~19年は概ね20000円~24000円の往来に転じた。いまでは24000円処で「Wトップ、三尊高値」という高値形成懸念も漂う。

日経平均月足
日経平均月足

ただ、月足のトレンドは60ヶ月線(20128円)を下値に上昇基調を続ける。高値24448円を突破するなら2年間の往来突破であり、上昇四波として27000~29000円に向けて走り出すことが想定される。長期の上値傾向線(15年高値―18年高値を結んだ延長戦)が27000円方向で、18年10月高値→同12月安値の下げ(5500円幅)の倍返しが29000円台。17年や19年の上げ率(約20%)を当てはめると28700円近辺となる。

年間展望「風雨強まる高所、乱高下」

 これらの状況を踏まえて「2020新年相場」を予想すると、日経平均は4月頃まで「23000~26000円」で乱高下しながら上値追い、だが5月からは「下値22000~21000円」を覚悟するような急調整となり、米大統領選を終えた11月から年末にかけて切り返すイメージを描いている。年間を通すと「N字」波動でイッテコイ、もしくはマイナスになることも想定する。

2020前半予想
2020前半予想

 繰り返しになるが、世界の屋台骨である米国株がマネーバブルで高所に来ている。「山高ければ谷深し」の如く、何かをキッカケに調整となれば大きな調整になる可能性あることは頭に入れておきたい。その意味でNYダウ、日経平均とも日足や週足に下値抵抗線を引きながら、トレンド転換に注意しながら対応して行きたい。
新年、みなさまのご多幸をお祈りいたします。

※次回は01/06(月)に掲載します。

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