富田のトレチャ 2021年12月06日

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警戒・年末相場

新変異株オミクロン型の登場で世界のマーケットは荒れた。株だけでなく為替、債券、商品、ビットコインなど軒並み大荒れ、チャートは調整入り信号を点灯させた。昨年3月安値から各国協調の過剰流動性で株式市場は大きな金融相場を演じてきたが、FRBが緩和縮小に転じたこともあり、チャートは一旦、金融相場の終了を告げているように映る。

ボーナス、クリスマス、お正月を控えて上昇期待膨らむ師走。信用買い残は11/26現在14年2ヶ月ぶりとなる3兆7400億円に増加し、投資家の押し目買い意欲旺盛ぶりを見せている。

だが、先週の日経平均は3日に27588円まで下げ、日足は29000円近辺に集まる各平均線を大きく割り込み、週足は昨年から下値を支えてきた52週線(3日現在28709円)を割り込んだ。これでチャートは「陰転」である。早急に回復してこの陰転信号を覆すことできないと、年末にかけて厳しくなることを否定できない。

日経平均週足
日経平均週足

騰落レシオが2日に1年8ヶ月ぶりとなる69.2%を付けた。75%以下は底値ゾーンではあるが、11/29に年初来安値が550を数えるなど個別株の採算が大きく悪化している証でもあり、日経平均が下げると「投げ売り、見切り売り」が出やすい状況とも言える。

12月後半にIPO(新規上場)がなんと30社以上予定されている。節税対策売りも出やすく、年末にかけて需給環境は悪化しやすい。そして、カギ握るNYダウ、ナスダックのチャートは調整入りを暗示、さらに商品CRB指数も陰転漂わし、為替は円高懸念を増している。これらも含めて年末の相場は要注意と考える。

NYダウ日足
NYダウ日足

CRB指数日足
CRB指数日足

3日の日経平均先物は280円安27790円だった。先週は27380円を安値に下げ渋り、日足は27500~28100円ゾーンで踊り場を形成中だ。ただ、29900円台から大きく下げてきての踊り場で、ボリンジャーバンドは下げ基調の-1σ(28373円)と-2σ(27643円)の間にある。つまり、ここから「二段下げ」に向かう可能性は小さくない。

日経平均先物日足
日経平均先物日足

年末高のアノマリーはあるものの、3年前の2018年暮れは大納会に向けて急落している。マネーバブルで歴史的相場を演じた2021年も間もなく幕を閉じる。

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