富田のトレチャ 2016年02月01日

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上引いておく下値抵抗線

サプライズ好きの黒田さんが29日の会合でまた動いた。「QE3」ではなく「マイナス金利」の導入である。先週末のマーケットは日本だけでなく欧米もそれを好感したが、そのサプライズ効果がどこまで続くのか、今週は早速それを試されることになろう。

ECBに次ぐマイナス金利導入に、29日の日経平均は安値から一時870円も切り返し、NYダウは396ドルの高値引け。ドル円は120円となり、シカゴ日経平均先物は17850円と先週末より210円高で終えた。とあれば、今週の日本株はCMEにサヤ寄せするように続伸で始まろう。1月の日経平均は3000円幅(15%超)も大きく下げ週足N波を達成しただけに、その反動がここで一気に出てきた格好だ。

日経平均日足
日経平均日足

NYダウ日足
NYダウ日足

だが、1/21安値までは「1995年、2008年」と似た流れで来ている。そして「節分」までアヤ戻りを想定していたので、自分の中(チャート)では今回の黒田サプライズも「想定範囲」で驚きはなく、問題は2月に入るここからと見ている。

上値メドも先週の段階で「17750円~18250円」を想定しておいた。25日線や週足雲下限などを考慮した値だが、25日線を抜いたとしても日足ではボリンジャバンド「+1」や、遅行線の雲(18319~18430円)、基準線18481円などが節になる。そして1/21安値から9本目(変化日)が2/2で「節分」を意識させられる。

日経平均週足
日経平均週足

上値の値はともかく、節分近辺でもし戻り高値つけるなら「95年、08年」のパターンが続くので、そのあと「彼岸底」を警戒することになる。長らく続いたマネーバブル相場に亀裂入れた流れは95年、08年と同じ。世界を駆け巡る貪欲マネーの流れも同じようにいま「リスクオフ」として株式市場から引き揚げていると思われる。直近の株価反発は目先筋の「買い戻し(ショートイカバー)」で説明できるもので、買い戻し一巡、戻り一巡のあとどうなるかをここからはイメージしておかねばならないだろう。

08年日経平均日足
08年日経平均日足

日銀がマイナス金利に踏み切ったが当座預金の一部であり、その効果には疑問符が付きまとう。また、経験したことのないマイナス金利導入は「パンドラの箱を開けてしまった」「水没の始まり」と警戒を指摘する向きもいる。それに、日本株は米国次第、外国人次第であるから、まだアヤ戻り範囲のNYダウがチャート好転を明確にするまで楽観は語れない。

「節分天井-彼岸底」、日米とも需給が大きく崩れておりその格言通りになるリスクも抱えたままで、戻りのポイントが今週早々に訪れる。日経平均には1/21安値から「下値抵抗線」を要注意ポイントとして引くことをお奨めしておく。

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