不安の壁を駈け上がる株式市場
ウオール街の相場格言の一つですが、まさに「相場は不安の壁を駈け上がる」という感じでしょうか。
決着しそうで先送りが繰り返される米中貿易交渉
ダラダラと続く英国のEU離脱問題
IMFが3度目の世界経済見通しを下方修正か
こう言う不透明材料が多数ある中で米国株は最高値を目指す展開。テクニカル面では、ピーク圏から陰転した9・12週RCIが、若干の調整後に再上昇をサポートするような形状に好転しそうな勢い。突発事故的なマイナス材料がなければ最高値更新が考えられる勢いだ。
中国の経済指標が好転し始め、米国の経済指標も好転指標が混じるようになってきた。世界の経済2大大国が景気好転の方向を、株式市場が感じ取り始めたと解釈するなら、下げそうで下げない相場も頷ける。
さて日本株だが25日騰落レシオは2/5にピークを打ち、中立の100%を割り込んだ3/8以降、真ん中水準の100%を出没。株価も25日平均線を出没と方向感のない展開だった。
しかし米国半導体関連企業のトップが、2019年の需要見通しを上方修正した3月後半辺りから相場が変化してきた。そして先週は、中国PMIの改善や米国ISM製造業の改善などがあり米国株も中国株も堅調で、独自材料に乏しい日本株も連れ高となってきた。世界経済の回復を先取るような展開という事か。
日経平均日足
こうなると株を持っていない投資家は焦る方もいると思うが、不景気の株高に付くか否か、難しい選択だ。さらに言えばどんな銘柄に付くべきか非常に悩ましい。
先週の日銀短観に見られたように、先行きのDIはさらに悪化する。景気のボトムが今かどうか難しい判断だ。
信用評価損率の改善を好材料と見る方もいるが、ネット証券大手の松井証券の買い残は、昨年10月ピークから直近で35%も減少、金額で1000億円も整理されている。10月以降の下げで買い向かった向きが12月の下げで投げさせられ第一弾の整理が進み、直近の株価上昇で残りをヤレヤレ整理売り。
信用買い残の推移を見ると個人投資家の多くはこの株高で、買い玉の含み益を増やしているよりは、評価損の減少で戻り売りに徹している。これが信用買い残の急減と信用評価損率の改善をもたらしたのであろう。
意地悪な見方をすれば、今後整理売りがある程度進んだ段階でも日本株が下げなければ、今度は強気になるかも知れない。そうすると信用買い残が増加し始める。その時が目先天井を形成するかも知れない。
収益安定株が売られ、下方修正や減益発表の半導体・電子部品株が上昇するというやり難い相場内容。
ただし相場は強含み始めている。直近の下方修正株の多くが一旦売られた後、急激に回復している銘柄が先週あたりから急激に増えた印象。悪材料を買う相場が一番強い相場なのだからここは相場に付くべきなのだろうか???
ツガミ日足