高岡隆一の株達の極意 伝授します! 2019年08月13日

業績変化よりも円高に敏感な日本株

8/6には20110円まで突っ込んだ日経平均、一旦は下げ止まった感じだが1ドル105円台前半まで進む円高もあり油断許さず。中国からの輸入品に追加関税第4段を発表したトランプ大統領。ドル安誘導とも取れる発言に市場は円高で反応。日本株は波乱含みが続きそうである。

  過去のリポートで、米国金利低下=円高=株安、という流れがあり、売買タイミングの手法となる事を述べました。ただこれらには例外的な局面もあり、その辺を今回は考えてみます。

日経平均月足
参考チャート

円ドル月足
参考チャート

  アベノミクススタート時はザックリ、1ドル80円割れ、日経平均8500円以下からのスタートでした。その後、日銀の異次元緩和などもあり円安=株高という流れが顕著にみられます。
  加えて業績面も加味すると、13年1月の日経平均一株益が606円、これが15年6月には1257円と倍増。日経平均も8500円から20952円と2倍以上に上昇。この間、1ドル80円割れから15年6月には125円台まで円安も進んでいます。

  それから3年後の18年10月には日経平均は24448円まで上昇しますが、円ドルは1ドル114円台と10円強の円高となっています。ここでは円高でも株高ですね。これを可能にしたのが一株益の増加です。15年6月には1257円だった日経平均一株益が、18年10月には1739円まで増加し株高を支える根拠となりました。
  円高局面でも一株益の増加に勢いがあれば、多少の円高は克服できるのです。

  一方、15年6月に日経平均は20952円を付けますが、16年6月には14864円まで約6000円幅・29%の大幅調整となります。この間の一株益は1257円から1197円とたった5%の減少に過ぎないのですが、円ドルでは1ドル125.85円→99.09円と21%もの円高を受け株は大きく調整しました。

  今回の調整では、一株益は1739円→1766円と若干増加していますが、日経平均は24448円→20684円(8/9)と3700円・15.4%も調整しています。注目の円ドルですが1ドル114.55円→105.27円と9円幅・8.1%の円高が進んでいます。

  株価は利益に比例して動くと言われますが、上記の2例から日本株は一株益の増減よりも為替の影響が非常に大きい事が解ります。そして15年からの調整では26円・21%の急激な円高でも、意外に一株益の減少は少ないのでした。市場が考える、円高→企業業績悪化→株安、という構図は悲観過ぎで、円高の影響は予想ほど一株益に悪影響を及ぼしてはいません。むしろ円高→企業業績悪化というイメージが先行して株安を招いているように感じます。

  さて直近の決算から、2020年3月期は経常益で2%減、一株益で2.9%と言う微減予想ですが、昨年10月高値からの株価の調整は16%弱と大きなものになっています。先々まだ円高が進むと市場は懸念しているためでしょうか。
  米中貿易戦争に一服感が出ない間は一株益が増加する可能性も乏しく、円高リスクが蔓延。一株益の実害は少ないかも知れませんが、円高=株安のイメージが先行して日本株の上値を重くする可能性が残ります。当面、一株益が増えるか円高が止まるかの条件が揃わないと、買い難い相場は変わりません。

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