新人類相場再び??
この言葉を知っている投資家は80年代から投資をしている大ベテランの方だろう。当時の日本経済は円高不況を克服すべく日銀は公定歩合をどんどん下げ、ジャブジャブの資金供給を行った。その結果「金余り」は株や土地に資金が向かい「バブル景気」を生み出し、日本は一時的にせよ世界経済の頂点に立ったのだ。
この時期、特金・ファントラなど企業が市場から資金調達(エクイティーファイナンス)で集めた余剰資金を、株などで運用する仕組み。これができた。そしてこの資金運用担当者が20台~30歳強。不景気をあまり知らず、下げ相場も知らない20台がどんどん大型株に投資した。経験の浅いファンドマネージャーでも大手なら、1000億円程度の運用金額は珍しくない時代だった。
時効だから色々書きたいこともあるのだが、高岡の記憶も薄れ不確かなことも多々あり控えさせていただくが、大きな声では話せないような武勇伝も含め今ではありえないようなことが当たり前の様にあった時代だ。
ベテラン証券マンや重鎮たちの多くは、「新日鉄は上がらない。東京電力も野村證券も上がらない」こういう見方が多かった。ほとんどだったと言ってもよい。
私がお世話になった証券界の重鎮の方々(アナリスト協会やテクニカルアナリスト協会の設立にかかわった方々)は電機が大好きだった。特に70年代のオイルショックで大打撃を受けた日本経済、それまで中心だった重厚長大産業から軽薄短小製品に変貌を始める。当然物色も新日鉄からソニーへと変化する。個人的にもハイテク株に投資して一財産作った話は、よく聞く武勇伝の一つでもあった。
このような成功体験もあり、重厚長大産業は過去の銘柄となっていた。だから株式市場との関りが長がければ長いほど、「電機」が好きで「重厚長大株」は嫌いだった。
だが80年代の日本は金余り。時価総額の小さなハイテク株を多数買うよりも、超大型株に資金を集中した方が銘柄管理も含め楽だったのだろう。だから100円上がれば上等と言われた超大型株が、500円1000円と急騰。1000円以下の大型株が無くなるぐらいの勢いだ。
ある方に鉄鋼株はどうかと尋ねたら、即笑われた。過去のチャートを見なさい。上下の波が少なく投資効率は非常に悪い。しかも衰退産業。利益成長も望めず・・・とボロクソだった。確か当時の株価が新日鉄・川鉄・住金・神戸鋼のすべてが300円以下だったと思うがバブル期にはすべて1000円台に急騰だ。東京電力も1000~2000円のもみ合い株だったが9500円の高値を示現。恐ろしい時代だった。
と思い出すと今の株価はどうだろう。
コロナ下で日本でも米国でも国民すべてに給付金が転がり込んできた。生活が厳しい方もいれば、何とかなりそうな方もいる。その中に「ただでもらったお金」、こんな認識の方々が証券投資を始めたのがコロナ下。新興株に投資した方の中には政府からもらったお金を何倍にも増やした方もいるだろう。そういう方は負け知らず。強気強気だろう。
日本が経験したバブル期と、世界中の中央銀行が金余り状態を作った結果の株高の今、ある意味同じ構造だ。
当時と違うのは、80年代のバブルは日本一国の話だが、今は世界中の国で起きていること。日本人の大好きな「赤信号、みんなで渡れば怖くない」式に、強気が市場を支配している。その根拠は中央銀行が見方だからだ。
80年代のバブルが崩壊したのは、日銀がバブル退治のために土地融資規制に乗り出したからだ。総量規制など銀行の業務に介入したのだ。
今回で言えば、金余り政策を止めるときだろう。それが2021年春にもやって来るのか、来年なのか・・・・・
12月のリポートで、「テクニカル面では絶好の買い場ではない」と判断した高岡の見方は間違いだった。テクニカルやPERよりも世界的な金余りのほうが勝ったのだ。
悲しいかな強気の買いがいつまで入るのか、統計的なデータでは分析できず分からない。
「バブルは崩壊してはじめてバブル。崩壊しなければ適正な価格となる」。或いは、「ダンスを途中では止めれない」。
相場から降りるのは非常に難しいことを表す名言だ。
中国の不動産価格上昇をバブルとしての特集記事は5年以上も前からよく見るが、中国の不動産価格が大幅下落したというデータはどこにもない。バブルではないのだ。今のところは。
今回の世界的な株高も米国テスラ株の大幅上昇(創業者は資産20兆円の世界一の金持ちになった)もバブルと言う方もいるが、破裂しなければバブルではないのだ。
バブル崩壊の直前まで買い続け、崩壊直前で逃げられたら最高。これを可能にすべく人々は色々な分析手法を開発してきたが、その答えはない。
コロナが落ち着きユーザーの皆さまと再会できたときに、「まだ上がるんですかねー??」と喜び半分・不安半分のお顔を見られたらと願います。
2021年もよろしくお願いいたします。