高岡隆一の株達の極意 伝授します! 2021年11月08日

米国株は史上最高値、日本株上昇には絶好の時期だが・・・

日本の衆院選は野党が自滅して自民安泰、さらに米国のテーパリングも織り込み、米国雇用統計も順調。米国株は史上最高値を連日更新し続けている。こんな絶好のタイミングはめったにないのだが、日経平均とNYダウの差は約7000ポイントと開いたまま。今年の2月には500~1000ポイントの差しかなかったのに、現状の大差はどこから来ているのだろうか。

日経平均はジワリと上昇し29500円を回復してきた。10/1の28771円からは上昇しているが、この期間の東証1部株の騰落を見ると半分が上昇し半分が下落。つまり日経平均と言う指数は上昇しているが個別株は上昇に乗れていない銘柄が半数もあるという結果だ。

これは今の決算にも表れている。

大幅上方修正+増配を発表した海運株や商社株がその典型だ。例えば郵船9101。11/4場中発表で高値が8940円だったが11/5には7360円まで一時下げた。2日で約18%の暴落だ。PER1.8倍・配当利回り10.7%。

商社株も同じ。三菱商事8058・伊藤忠8001・三井物産8031など大幅上方修正+増配だが株価は下落。PERは5~7倍台で配当利回りは3.4~4%。

これら銘柄が今後も上昇しなければ。「収益は今がピーク」。これを警戒している可能性がある。1年で5倍になったバルチック海運指数(達人コード810)、10月高値から半値の暴落だ。他の資源価格も上昇一服。今後は物流の正常化が進み価格安定を織り込む下げか、インフレ退治のために金利上昇→景気拡大止まる→資源価格下落、このどちらかを警戒し始めた調整かも知れない。さらに半導体不足による機会損失による下方修正。こういう思わぬ「減益株」が多数見られ、コロナ後の景気拡大の恩恵を受けられない銘柄も結構ある。

バルチック海運週足
バルチック海運週足

そのため決算発表前に「通期予想が増益で割安だから」という理由でいつものように先回り買いしても、決算発表で「材料不足で減益です。輸送コスト上昇で収益圧迫の減益です」。こういう企業が少なくなく株価も急落。投資家はより慎重になっているため、25日騰落レシオは90%割れ、上記の様に日経平均上昇に遅れる銘柄は半数もある。こういう現実が日本株の頭を重くしている要因と考えます。

慎重に売買するなら決算前に安く買うよりも、決算を見てよければ株価は上昇しますが、場中の押し目を狙う方が決算が芳しくなく急落のリスクを抱えるよりも堅実と言えるでしょう。それが決算前より株価は高くなっていてもです。

もう一つはアフターコロナ株の動きです。米国市場ではファイザーのコロナ飲み薬の効果が、入院・死亡リスク90%減と非常に高いと伝わり、クルーズ株など観光株なども動いている模様。日本株では、収益悪化を発表済みのHIS9603、収益回復見込むエアトリ6191、ラウンドワン4680、デパートの高島屋8233、旅行と言えばJAL9201、結婚式ではT&G4331など色々ありますがこの辺が動き出すかどうか。

テクニカル面では、12日RCIはやや高値圏ですが、9~12週RCIは好転に変わる微妙なところ。個別株の眼力が試されそうですね。

日経平均週足
日経平均週足

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