高岡隆一の株達の極意 伝授します! 2022年04月11日

戻り一巡、上値は重い展開が続きそう

3/9日経平均25000円割れで一旦は悪材料を織り込み、その後の戻りで28338円を付けた日本株だが、この先は現実の悪材料を織り込む難局が待っていると思う。

ウクライナ問題が何時解決するかは分からないが、仮に停戦が実現してもロシアへの経済制裁をG7やEUが簡単に解くとは思えず、現実悪は市場に大きな悪材料としてのしかかりそうだ。

資源価格の高止まりと高インフレは世界経済の萎縮方向に働き、各国のインフレ退治による高金利政策がより経済を委縮させる。今回の危機を見た各国は軍事費拡大による財政悪化や、成長分野への投資が軍事費増加でそちらに資金が取られ経済成長にはマイナス要因だ。日本では資源高と円安による経常収支の悪化がさらなる円安をよぶリスク。数え上げたらきりがないくらい悪材料は多いと思うし、簡単に市場が織り込める材料でもないと思う。

もう少し分かり易く市場を見てみると、日経平均の一株益の直近ピークは昨年11/8・2179円で、当時の日経平均は29507円。金利水準が一定とすれば、一株益が当時の2179円を超える方向でなければ、日経平均29000円~3万円は近くて遠い水準となる。

日経平均日足
日経平均日足

そこでこれから3月期決算企業の決算発表が始まるが、上記難題がある中で企業経営者が収益楽観見通しを出すとは思えない。期初は渋めの予想を出し四半期決算で修正するパターンが見えて来る。もしそうならこれからの発表分は良くて横ばい。より慎重なら減益予想の企業も出てくるだろう。金利は上昇傾向で一株益が増えない環境と予想すれば、株価だけがスルスル上昇するのは非現実的と考える。

そこで日本の改善策が必要となるが、私もそうだが日本人が改善方向を強く意識するというのは期待しないほうが良いのかもしれない。

市場に不人気な岸田経済政策。いったいどんな悪材料が出てくるのか。

新しい資本主義を標語に「分配」は結構だが、「成長無くして分配なし」だ。あれもこれも皆が満足するような政策は、結果的に逆効果となる。

投資家は冷淡だ。株主を一番に考え「利益配分の一番は株主」。こういうスタンスの企業や国に資金は流れるものだ。

皆さんが、お金を貸す場合に、「儲けたお金はあなたに一番に返します。その割合もあなたが一番多いです」。こういう人に貸すもので、「借りたお金は返しますが、従業員にも取引先にも返したいし、その割合も皆均等に」。こういう場合なら貸す魅力は半減するだろう。

これと同じで、岸田政権が世界の投資家に「日本に投資してくれたら様々な優遇税制を適応させます。他国よりも有利な条件も用意します」とすれば外国人の資金も戻ると思うが、今の日本人の気質を考えると無理だろう。

「なぜ外国人が、なぜ企業が日本国民よりも優遇されるのか」と、あの新聞やあのテレビに限らず皆反対するだろう。

先日、リハビリも兼ねて浅草を散歩した。コロナ前、あの有名な天ぷら屋で昼飯を食べたら、小さい海老天が3~4本。味噌汁も付かずで2500円ぐらいだった。さらに「ノーカード。リアルマネーオンリー」とご丁寧に貼っていた。当時、「高くて不味くてこんな天丼、外国人に出すのは失礼。天丼てんやの方が安くてうまい」と外国人に教えたい気持ちだった。

そして数年後の先日、別の飲食店でお茶をしたが、いまだに「ノーカード。リアルマネーオンリー」だ。「現金だけよ」、である。

なぜ現金だけがダメかと言えば、我々が海外に行く場合、不慣れな方は国内銀行で現地通貨に両替する。その際の手数料は通貨によってかなり違う。ドルなら2~3円、香港ドルも同じ程度。だが1ドル125円の通貨で手数料が2~3円なら2%が目安となるが、1香港ドルが16円の通貨で2~3円の手数料だと15~20%もの手数料がかかる。しかもこれは片道。現地通貨から日本円に両替する場合も同じ手数料がかかるから、香港ドルなら30~40%もの手数料がかかることになる。両替だけで1万円が6000円~7000円に減るのだ。しかも硬貨は対象外と言う場合が多く、現地通貨の硬貨は単なる金属ごみ(お土産?)となる。

こういうデメリットがあるからカード決済は最低線と思うが、いまだに現金のみのお店が多数あることに驚くし、こういうお店がインバウンド需要の急減で厳しいと言っても、助けたい気持ちにもならない。むしろインバウンドにただ乗りして、外国人がたくさん来てくれれば莫大に儲け、厳しい時には大変だとしか言わない。大変な時につぎのブームに備えてより使いやすいサービスを準備することが「おもてなし」ではないのか。

こういうへんてこなことをマスコミは取り上げない。「外国人観光客が来なくて大変ですね、大変ですね」、こういうコメンテーターしか見たことが無い。これが日本人の言うおもてなしで、日本人の気質なら改革などできるはずもない。

こう考える外国人投資家は意外に多いのでは・・・。

これは簡単な些細なケースだが、この程度のこともできずに痛みのある改革などできるはずもない。

今回の東証改革もそうだろう。

市場改革前なら東証1部、改革後ならプライムに残りたいから企業が東証に圧力をかけ、へんてこりんな「猶予期間」が設けられた。なんとプライム条件を満たさなくても残留が認められ、その猶予期限は無いというから5年でも10年でも100年でも猶予が認められるのか??

投資経験が長い方なら解ると思うが、四季報が年々分厚くなる。上場企業は増えるが廃止基準が甘いので、上場企業数は増える一方だ。そのうち「食パン一斤」の様に厚くなるのも時間の問題だ。

貯蓄から投資を掲げるのなら、まずは上場企業数の整理が大事だろう。

心理学だったと思うが、選べる品数が多くなると購入者は買いたい商品を絞り切れず買わなくなるという。これと日本の株式市場は似ていると思うが。

結論は、一株益が増えなければ株は上がりにくいと言う事。

当面の決算数字に注目。また安川6506が上々の決算内容との評価だが、株価が上昇し続けるのか、早くも織り込み済みから下落か。この辺の動きも日本株の方向にヒントになると思う。

ついつい辛口コメントが多くなるのだが、今回のウクライナ危機を見て日本の防衛はどうするのか。経済競争(競争教育も)は悪なのか、止めるのか。負けでもいいのか・・・。

国防能力の弱い国は侵略される、ウクライナがそうだ。そして国防には金がかかる。

防衛費が増えると文句を言う国民がいて、アメリカ軍が気に入らないと文句を言う国民がいる。

しかしそのアメリカに守ってもらっている現状、アメリカとどう付き合うのか。

「国力が落ちて買う力が乏しくなる日本を守る理由があるのか」、米国で議論になったらどうするのだろうか。アメリカの製品を買う力があるからこそ守る必要があるのであって、金の切れ目が縁の切れ目にならなければ良いが。

防衛費増加は反対、徴兵制も反対、米国軍もいらない。だけど日本を守ってほしい。

過度な競争はいらない、受験競争教育も良くない。でもゆとりある生活水準は欲しい。

日本人はわがままだし、善良な国民?(平和主義者?)は、紛争に対して話し合いの解決(外交努力)で、競争も詰め込み教育も「悪」だという。確かに理想だが、きれいごとで解決するなら戦争も経済格差も起きない。

世界には我々が理解できないようなことをする指導者とその部下がたくさんいるのだ。そしてそれに備えるには金がいる。その金を稼ぐには競争で勝って日本の製品をどんどん売り込む必要があるのだ。*競争で勝つしか平和もゆとりある生活もないのだ。*

日本人はどこまで覚悟するのだろうか?出来ているのだろうか?

子供を持つ親として心配だ。

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