高岡隆一の株達の極意 伝授します! 2022年10月11日

テクニカルはリーマンショック時の08年末に似てきたが

米国株への弱気が増える中、テクニカル面では2008年11月安値当時に似てきた。
金利上昇に弱いとされるナスダック、リーマンショック時前の高値(2007年10月)から2008年11月安値までは13ヶ月。そして今回では、最高値が昨年11月だから13ヶ月目は今年の12月が日柄面では一致する。

テクニカルでは月足。9ヶ月SRV-Kと9ヶ月SRV-Dで見た場合、リーマンショック時のボトムはSRV-Kが15.57、SRV-Dが21.31。

ナスダック月足
ナスダック月足

直近の同指標はSRV-Kが11.99、SRV-Dが21.93と同じぐらいの突っ込みだ。株価の下落率ではリーマンショック時には劣るが、テクニカル面での低下度合いは匹敵。日柄面を考えても目先のボトムに近づいていると思う。

ナスダック月足
ナスダック月足

直近の日米株式市場はインフレ率の鈍化期待で一旦リバウンド、米国株が9/30を、日経平均が10/3をボトムとしたが、先週末発表の米国雇用統計の内容は期待したインフレ鈍化を示すには程遠く、米国株は再下落。日本株もお付き合いのパターンで、次のポイントは10/12の米国9月卸売物価指数と、10/13の米国9月消費者物価指数。ここでインフレ鈍化の兆候が見られるのか。またその鈍化具合が十分満足な内容かがポイントになる。

もっとも1ヶ月の指標だけで米国金融政策が大きく変わるとは考えにくいので、少々のインフレ鈍化程度なら株価の反転も米国金利上昇一服も短期で終わる可能性があり、深追いは出来ない。
またインフレ鈍化の兆候がない場合やインフレ加速の場合などは、金利の一段の上昇が日米株価には大きなマイナスとなり株安は続こう。
ただ月足テクニカルはかなりの低水準まで低下が進んでいるため、最後の投げが出て今年の年末までに一旦はボトムを打ち反転の可能性もあると期待する。

ただしこれで調整は終わらないと思う。
なぜなら円安の次に「円高」が待っているからだ。

今、米国にとって最大の懸念はインフレだ。だからドル高は米国の輸入物価を抑制しインフレの防波堤役を演じている。しかし米国中央銀行の利上げも米国経済指標の悪化やインフレ率の鈍化がみられると、金融市場は金融引き締めから金融緩和が視野に入る。そうなると米国金利は低下をはじめ金利低下を好感して米国株は反転し始めるだろう。
それを好感して日本株もリバウンドとなるだろうが、日米金利差は拡大から縮小に変化すると、ドル高からドル安に変化もするはず。

今、米国中央銀行も米国政府も景気拡大よりもインフレ抑制にかじを切っているので、景気を犠牲にしても高まる物価を抑えることを一番の目標にしている。
しかしこの先、金融引き締めの効果が出て景気が弱まればインフレ率も鈍化するはずで、そうなれば今の政策と真逆の政策を選ぶはず。
「インフレ率は鈍化して気にしなくても良い。むしろ弱まる景気のテコ入れが大切だと」。そうなると米国輸出巨大企業や多国籍企業の業績を支援するためにも、ドル高を止めてドル安指向になるはず。そうなれば日本株にはそれを織り込まなければならない局面がやって来るはず。

今はまだそういう議論はほとんどなく、「米国金利の上昇が止まれば日本株は上がるはず」、と言う見方が多いようだが、それは間違い。本格上昇の前には世界経済悪化による輸出減と円高による為替差損などの減益要因がダブルで来る「業績下方修正局面」を乗り越えなくては上昇相場には入れない。この局面までをいかに凌ぐかが来年の大きなテーマだと思うので、米国株の底入れが日本株の底入れとはならない可能性がある点は要注意。まだまだ上下動の相場は続くとの認識が必要で、ポジションは少な目少な目。絶対に資産を減らさないよう細心の注意を払っていただきたい。

当面の安値は確実に近づいていると思うが日本株の底値はまだ先と思うので、よほどの自信があれば別だが、1日で決済するディトレが一番安全で精神的にも楽だと思う。

大相場のサインは、業績下方修正株が買われる相場。これは何年経っても変わらないサインだと思う。

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