上放れた日本株
前月号のポイントは、日本企業の一株益の増加は見られず、米国の金利状況次第で上下に振らされる。しかも今後に重要な米国経済指標が待ち構え、欲張らないなら一旦利食いも一考。米国重要経済指標の内容を吟味して、買い直すなら買う。待つなら待つ。こういうスタンスもある、と言う内容でした。
日経平均は前月号当日の2/6に27821円の高値を付けて27000円接近の調整に。200日線も一時は割り込み調整本格化と思われた。
その背景には予想を上回る強い米国経済指標があった。
2/3の米国雇用統計を皮切りに、CPI、小売売上、PPI、PMI、PCEデフレータなどいずれも強く、米国10年債利回りは3月には4%超まで急上昇。金利低下を期待した米国株も裏切られ調整推移でしたが、先週末辺りから反転。長期金利上昇を織り込んだ動きなのか即断はできないが、長期金利4%でも急落しないことを考えると、ある程度の悪材料は織り込んだ可能性も。
そして日本株の動きですが、達人コード東証プライム(115)、東証スタンダード(116)、東証グロース(117)を見比べるとなんとなく納得。
日経平均日足
東証プライム指数日足
東証スタンダード指数日足
米国債10年日足
東証グロース指数日足
2月の動きを振り返ると、日経平均は横ばい。日経平均と似た構成のプライムも2月は横ばい。割安株の多いスタンダードは上昇(昨年11月高値を更新)、ナスダックに連動しやすい成長株の多いグロースは下げ。こんな感じだ。
株を買いたい。でも先物や外国人・機関投資家の影響を受ける大型株は米国金利に一喜一憂しやすく買い難いので見送り=横ばい(日経平均やプライム)。でも何か買いたい向きは昔の東証2部の感覚かスタンダ―ド株に集中。2月はこんな選択が各指数の差になったと思うが、3月に入り動きが変わりつつある。
米国10年債が4%まで上昇し、米国の利下げは先送り。むしろ利上げ高原状態の長期化が懸念され、長期金利の上昇を招いたのだが株は反転。短期的には悪材料織り込み済みと見るべきか。
そして一部で指摘されているように、1月の米国経済指標は強く出やすく、2月分の発表は1月よりも弱くなるという点。もし今週末の米国雇用統計から始まる米国経済指標が、期待の様に弱く出た場合に、長期金利は低下し米国株を押し上げる可能性。これが前倒しで出ている可能性もある。2月の米国株相場と逆の展開だ。
投資家として難しいのは、重要なイベント(前月なら経済指標発表)の前に一旦利食いして期待通り下げてきた。その後は悪材料でも(米国金利が上昇しても)米国株が下げない場合。悪材料織り込み済みとの判断から買い直せるかだ。これが難しい。
昨年2022年から続くもみ合いをザックリ言えば、戻り期間は1か月程度で戻り幅は2000~3000円。これを直近の押し目2/22・27046円に当てはめたら、戻りの目安は29000円台、高値は3月後半、こんなイメージとなる。その頃になると過熱圏にある9・12週RCIは過熱圏で張り付き26週RCIも高い水準に上昇しているはず。
日経平均よりも強いTOPIX、上値で蓋されていた2000ポイントを突破。新たな上昇トレンド形成に期待がかかる。日経平均もそのような強いトレンドに好転するかは分からないが、悪材料に打たれ強くなっているのは間違いない。あとはチャート上の値幅分析とテクニカル。この辺が次の高値を形成しやすいタイミングでは、買いよりも利食いに重きを置いて、極力高値掴みだけは避けたい。こんな感じで相場を考えています。