富田のトレチャ 2018年06月11日

★富田隆弥氏の相場解説ブログや注目株や日経平均解説など充実コンテンツ満載のPDF版「月刊トレチャ」詳細・お申し込みについてはこちら↓
→富田隆弥のブログ blank

バカンス前のイベント集中

今週は重要イベントが目白押しだ。12日に米朝首脳会談、13日にFOMC、14日はECB理事会、15日は日銀決定会合と続く。そのほかサッカーW杯が14日から始まり、日本では民泊法が15日から施行、20日の国会会期末を控えてIR実施法案の去就も注目される。こうしたタイミングでの株式市場は「様子見、小動き」と見ておくのが基本だろう。

堅調に推移するNYダウ、ナスダックをベースに日経平均はV字回復を見せている。5/30安値21931円から6/8にはザラバで22879円高値を付け、5/21高値23050円にあと170円程に迫った。5/30安値は雲クロス近辺で75日線や200日線を下値に切り返し、そして25日線を上抜き、遅行線も雲を上抜くなど強い流れを見せている。

ただし、日足チャートは(1)三空(6/1、6/2、6/7)、(2)日足のV字が左右8本→8本で並ぶ、(3)ボリンジャーバンドがポイント「+1(22840円)」に抵触、(4)1/23高値→5/21高値を結ぶ上値抵抗線に差し掛かる、(5)メジャーSQを通貨。こうした条件の重なった8日に日経平均は128円安22694円と安値引けとなり陰線を引いた。裁定買い残、外国人とも5/1の週まで2週連続で売り越していることもあり、V字からさらなる上昇につながるかは疑問だ。

日経平均日足
日経平均日足

過去最高値を更新するナスダックだが、7日は7697ポイントで高寄り、引けは7635-54ポイントとなり日足は陰線の「つつみ足」となる。6/5に3月の最高値7637ポイントを更新したが、1月高値7505ポイントを抜いた3月の時は、更新して2日目に下落に転じた。英国FT指数も1月高値7792ポイントを5月21日に突破したが、翌日に高値を打って下げに転じている。つまり、高値を更新するとすぐ売り場となるケースが今年は目立っている。6月の米国は中間決算期だし、ナスダックは日足RCIが警戒信号を出しており、堅調相場が続くのか注視される

ナスダック日足
ナスダック日足

日本の証券界は夏のボーナスシーズンを控えて強気姿勢を貫くだろう。その資金を株や投信に向かわせたくマーケットの「上昇、堅調、活況」を演出するのは6月と12月の風物詩でもある。話題の「メルカリ」の上場をこの時期(6/19)にしたのも意図があるに違いない。そうなると、ここで業界の口車に乗って良いかは疑問となる。
夏のマーケットは調整アノマリーがあり、今週の重要イベントを終えると一気にバカンスモードを強める可能性もある。

日経平均は1月高値24129円を目指して、NYダウも1月高値26616ドルを目指した戻り過程にある。チャートは崩れかけたあとの戻りであるから、戻りの正念場が続くことに変わりない。そうした状況を踏まえると、夏場のスタンスは慌てることなく様子見や小口で遊ぶなどの冷静さが必要だろう。

→富田のトレチャ:目次へ

(PDF版「月刊トレチャ」富田氏の注目株解説などをさらに詳しくご覧いただけます!  詳細・お申し込みはコチラ