富田のトレチャ 2018年08月06日

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テーパリング決めた日銀

日経平均は23000円を上値にもみ合い続く。5月から三点トップになった23000円が上値ポイントで、下値ポイントは25日線、75日線、200日線の集まる22350円処で、当面はこの上下どちらを抜いて行くかがポイント。ちなみに下値ポイントで付け加えるなら週足の52週線と下値抵抗線の重なる22000円処も要マークで、ここは日足一目均衡表の先行スパンも重なる。

日経平均日足
日経平均日足

日足の一目均衡表を見ると、今週6日~7日に先行スパン(雲)が22340~22411円でクロスし、8/23頃にも22260円近辺でクロスする。つまり、8月は先行スパンが薄まり22200円台低下することから、日経平均が下落するようだと日足の200日線を割り込み、週足の下値ポイント52週線を試す可能性が出てくる。そして、この週足の下値ポイントを割り込むことあれば「調整本格化」のリスク高まることは一つ承知しておく。

日経平均週足
日経平均週足

7/31に決まった日銀の柔軟姿勢が気になる。大きなポイントは二つで、1.長期金利の変動幅を0.1%→0.2%まで容認する、2.ETF買いをTPOIX型の比率を増やすことだが、実質テーパリング(大胆緩和終了)の第一歩であることは多くの投資家のコンセンサスだ。
国債相場(長期金利)の相場は日銀の強力介入で1年半にわたり150円70銭±40銭でこう着、長期金利は0.00~0.1%で張り付き市場としての機能を失せていた。ところが今回の決定で債券先物相場(株達コード401)は急落して保ち合いを下放れ、長期金利は上昇して保ち合いを上放れた。国債の急落、そして長期金利上昇がいまの日本に有益(ポジティブ)になるとはとても思えない。

長期金利週足
長期金利週足

そして、年6兆円、累計20兆円にも達する日銀のETF買いが株式市場の価格形成を歪めているのは言うまでもない。日経平均型のETF買いでファーストリテイリングなど一部の値がさ株が無条件で買い上げられ、日経平均は値がさ株の動向に振らされ、NT倍率は19年半ぶりに13倍まで拡大していた。そしてファーストリテイリングの浮動株は枯渇寸前となっている。こうした状況を是正することもありTOPIX型の比重を増やすことにしたが、こうなるとNT倍率は縮小に向かい、ファーストリテイリングなど値がさ株は下げ基調となること覚悟せねばならない。

NT倍率
NT倍率

日本株のカギを握るのはナスダックなどの米国株で、日経平均はもうしばらくもみ合う可能性あるものの、酷暑と台風襲来の夏だけにチャートは陰転となる22350~22000円の下値ポイントをとにかく注視しておく。

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