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鮮明「リスクオフ」
世界各国で金利低下の動きが鮮明だ。FRBの利下げにアジアなど新興国が続き、そして欧州、日本はマイナス金利を深める。「金融緩和で株式にマネーが向かう」などと呑気に昔ながらの理屈を並べているのは証券関係のアナリストだけだろう。いまの異様な金利低下は「債券(国債)」をバブル化させ、株式市場は同時株安の様相を呈し、安全資産の「円」や「金」が買われるなどマネーの「リスク回避」が鮮明だ。
日本の長期国債を見ておこう。国債相場は154円74銭(額面100円)と過去最高値を更新し、長期債利回りは-0.22%に低下。このような異様地合いでも日銀・黒田総裁は「更なる緩和へ動く用意がある」とコメントしており、3年前の-0.29%を下回るのが時間の問題になってきた。
国債利回り週足
国債月足
黒田総裁の頭には「低金利、金融緩和=株高、景気浮揚」という昔ながらの経済論がベースにあるのだろうが、過去に例のない未曾有の世界的カネ余り時代となり、マーケットは11年前のサブプライム、リーマンショック時をはるかに上回るマネーバブルが形成されていて、昔ながらの経済理論が通用しなくなっていること否定できない。日銀はETF国債、REITを買い続けているが、黒田総裁も内心では「どうもおかしい。でも後にも引けず」と苦慮しているに違いない。
そしてリスクに輪をかけたのはトランプ大統領だ。昔ながらの理屈でFRBに利下げ圧力をかけ、中国を始め各国には恫喝して世界の金融市場をメチャクチャに陥れている。就任当初こそ景気刺激策や売り方の踏み上げなどで株価(NYダウ、ナスダック)を大きく上昇させたが、所詮それはマネーバブルのマネーゲームで過去最高値を描いたものだ。そのような相場が亀裂を入れたらどうなるか。10年前と違っていま世界で金融政策の切り札が乏しく、リスクが小さくないことは明白だ。
為替(ドル円)は105円台前半の円高となり、年初と昨年3月に付けた104円70銭近辺を目指す流れにあるが、チャートは3年前の99円台を目指していること否定できない。
NYダウは7日に25440ドルまで下げ、チャートは昨年12月安値から引く下値抵抗線(現在26000ドル近辺)を割り込みかけた。8日は26378ドルと反発したが、米国10年債利回りが1.64%に低下して2年債利回りとの逆転も現実味を帯びており、NYダウがここで下げ止まったとは言い切れない。もし、下値抵抗線を割るなら10年間のマネーゲーム相場に終止符打つリスク否めないだろう。そうなるとチャートは非情に怖い形となる。
NYダウ日足
日経平均は6日に201107円まで下げ昨年来の下値抵抗線を割り込み、週足は二段下げへの突入が否定できない雲行きだ。日本国債の上昇(債券金利低下)や円高などを踏まえると、日経平均も3年前の安値「14864円」指向を頭に入れておくべきではないだろうか。
日経平均週足
チャートは「流れに従う」のが基本であるから、日経平均であれば少なくとも21300円台に集まる25日線、75日線、200日線を突破するまで「慎重姿勢」を続けるべきだ。お盆の今週は上値でなく「どのような突っ込みを見せるのか」、それを見定めるところかもしれない。
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