富田のトレチャ 2021年05月24日

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ファストリ懸念

日経平均は13日に27385円まで下げて三角保ち合いを下放れて「陰転」し、いまアヤ戻し(プルバック)を試しているところ。割り込んだ保ち合いの下限28500円処がネックラインとして、またデッドクロスして降りてくる25日線が上値の節として意識される。

日経平均日足
日経平均日足

ワクチン接種が始まり、いずれ経済活動も正常化に向かうと思われるが、その割に日経平均の戻りは鈍く感じる。外国人投資家が5/14までの週に1兆1177億円(現物+先物)も売り越した。理由はともかく、日経平均のチャートは75日線(29217円)や三角で引いた上値抵抗線を突破しなければ「好転」の芽は出てこない。その点は承知しておくべきだ。
日経平均の動きに大きく影響する銘柄といえば「9983ファーストリテイリング」(以下ファストリ)で、寄与率は1社で10%に及ぶ。そのファストリのチャートを少しみておこう。

3/2に11万円台の最高値をつけたが、その後3/25に安値82570円まで下落、25日線や75日線を割り込んだ。5/13安値83730円を二点安値として現在86630円に戻しているが、まだ25日線、75日線の下にある。

週足は13週線と26週線が今週にも91000円処でデッドクロスするが、時価の86630円はその平均線の下に位置あり、チャートは日足、週足とも調整入りを暗示する。この軟調で現在42万株ある信用買い残は厳しくなっているだろう。

ファーストリテイリング週足
ファーストリテイリング週足

気になるのは日経新聞社が5/10に日経平均株価の算出方法を「みなし額面」から「株価閑散係数」に改定する案を発表したこと。意見を募集して今秋にも実施の予定だが、これは明らかに「ファストリ」を意識したもので、機関投資家やファンド勢は保有株からファストリの比重を下げるだろう。その対応をすでに終えたとは思えず、日経平均への下げ圧力がまだ出ることをチャートは示唆しているようだ。

このファストリが日経平均の戻りを鈍くしている一因なのかもしれない。ただ、相場は流れに従うものだ。日経平均が25日線や75日線のまだ下にある現状では、様子見も一策となる。(

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